竹取物语

2007-08-05 来源:网络  【 评论:0 收藏
7 燕の子安贝
中纳言石上麻吕は、家につかはるゝ男どもの许に、「燕つばくらめの巣くひたらば告げよ。」との给ふを、うけたまはりて、「何の料にかあらん。」と申す。答へての给ふやう、「燕のもたる子安贝とらん料なり。」との给ふ。男ども答へて申す、「燕を数多杀して见るにだにも、腹になきものなり。たゞし子产む时なんいかでかいだすらん、はら\/と人だに见れば失せぬ。」と申す。又人のまをすやう、「大炊寮おほゐづかさの饭炊ぐ屋の栋のつくの穴毎に燕は巣くひ侍り。それにまめならん男どもをゐてまかりて、あぐらをゆひて上げて窥はせんに、そこらの燕子うまざらんやは。さてこそとらしめ给はめ。」と申す。中纳言喜び给ひて、「をかしき事にもあるかな。もともえ知らざりけり。兴あること申したり。」との给ひて、まめなる男ども二十人ばかり遣して、あなゝひに上げすゑられたり。殿より使ひまなく给はせて、「子安贝とりたるか。」と问はせ给ふ。「燕も人の数多のぼり居たるにおぢて、巣にのぼりこず。」かゝるよしの御返事を申しければ、闻き给ひて、「いかゞすべき。」と思しめし烦ふに、かの寮の官人くわんじんくらつ麿と申す翁申すやう、「子安贝とらんと思しめさば、たばかり申さん。」とて、御前に参りたれば、中纳言额を合せてむかひ给へり。くらつ麿が申すやう、「この燕の子安贝は、恶しくたばかりてとらせ给ふなり。さてはえとらせ给はじ。あなゝひにおどろ\/しく、二十人の人ののぼりて侍れば、あれて寄りまうで来ずなん。せさせ给ふべきやうは、このあななひを毁ちて、人皆退きて、まめならん人一人を荒笼あらこに载せすゑて、纲をかまへて、鸟の子产まん间に纲を钓りあげさせて、ふと子安贝をとらせ给はんなんよかるべき。」と申す。中纳言の给ふやう、「いとよきことなり。」とて、あなゝひを毁ちて、人皆归りまうできぬ。中纳言くらつ麿にの给はく、「燕はいかなる时にか子を产むと知りて、人をばあぐべき。」とのたまふ。くらつ麿申すやう、「燕は子うまんとする时は、尾をさゝげて七度廻りてなん产み落すめる。さて七度廻らんをりひき上げて、そのをり子安贝はとらせ给へ。」と申す。中纳言喜び给ひて、万の人にも知らせ给はで、みそかに寮にいまして、男どもの中に交りて、夜を昼になしてとらしめ给ふ。くらつ麿かく申すを、いといたく喜び给ひての给ふ、「こゝに使はるゝ人にもなきに、愿をかなふることの嬉しさ。」と宣ひて、御衣おんぞぬぎてかづけ给ひつ。更に「夜さりこの寮にまうでこ。」とのたまひて遣しつ。日暮れぬれば、かの寮におはして见给ふに、诚に燕巣作れり。くらつ麿申すやうに、尾をさゝげて廻るに、荒笼に人を载せて钓りあげさせて、燕の巣に手をさし入れさせて探るに、「物もなし。」と申すに、中纳言「恶しく探ればなきなり。」と腹だちて、「谁ばかりおぼえんに。」とて、「我のぼりて探らん。」とのたまひて、笼にのりてつられ登りて窥ひ给へるに、燕尾をさゝげていたく廻るに合せて、手を捧げて探り给ふに、手にひらめるものさはる时に、「われ物握りたり。今はおろしてよ。翁しえたり。」との给ひて、集りて「疾くおろさん。」とて、纲をひきすぐして、纲绝ゆる、即やしまの鼎の上にのけざまに落ち给へり。人々あさましがりて、寄りて抱へ奉れり。御目はしらめにてふし给へり。人々御み口に水を掬ひ入れ奉る。辛うじて息いで给へるに、また鼎の上より、手とり足とりしてさげおろし奉る。辛うじて「御み心地はいかゞおぼさるゝ。」と问へば、息の下にて、「ものは少し觉ゆれど腰なん动かれぬ。されど子安贝をふと握りもたれば嬉しく觉ゆるなり。まづ脂烛さしてこ。この贝颜かひがほみん。」と、御ぐしもたげて御手をひろげ给へるに、燕のまりおける古粪を握り给へるなりけり。それを见给ひて、「あなかひなのわざや。」との给ひけるよりぞ、思ふに违ふことをば、かひなしとはいひける。「かひにもあらず。」と见给ひけるに、御こゝちも违ひて、唐柜の盖に入れられ给ふべくもあらず、御腰は折れにけり。中纳言はいはけたるわざして、病むことを人に闻かせじとし给ひけれど、それを病にていと弱くなり给ひにけり。贝をえとらずなりにけるよりも、人の闻き笑はんことを、日にそへて思ひ给ひければ、たゞに病み死ぬるよりも、人ぎき耻はづかしく觉え给ふなりけり。これをかぐや姫闻きてとぶらひにやる歌、 
年を经て浪立ちよらぬすみのえのまつかひなしと闻くはまことか
とあるをよみて闻かす。いと弱き心地に头もたげて、人に纸もたせて、苦しき心地に辛うじてかき给ふ。
かひはかくありけるものをわびはてゝ死ぬる命をすくひやはせぬ
と书きはてゝ绝え入り给ひぬ。これを闻きて、かぐや姫少し哀あはれとおぼしけり。それよりなん少し嬉しきことをば、かひありとはいひける。

8 帝の悬想
さてかぐや姫かたち世に似ずめでたきことを、帝闻しめして、内侍中臣のふさ子にの给ふ、「多くの人の身を徒になしてあはざンなるかぐや姫は、いかばかりの女ぞ。」と、「罢りて见て参れ。」との给ふ。ふさ子承りてまかれり。竹取の家に畏まりて请じ入れてあへり。妪に内侍のたまふ、「仰ごとに、かぐや姫の容いうにおはすとなり。能く见て参るべきよしの给はせつるになん参りつる。」といへば、「さらばかくと申し侍らん。」といひて入りぬ。かぐや姫に、「はやかの御使に对面し给へ。」といへば、かぐや姫、「よき容にもあらず。いかでか见まみゆべき。」といへば、「うたてもの给ふかな。帝の御み使をばいかでか疎にせん。」といへば、かぐや姫答ふるやう、「帝の召しての给はんことかしこしとも思はず。」といひて、更に见ゆべくもあらず。うめる子のやうにはあれど、いと心耻しげに疎おろそかなるやうにいひければ、心のまゝにもえ责めず。妪、内侍の许にかへり出でて、「口をしくこの幼き者はこはく侍るものにて、对面すまじき。」と申す。内侍、「『必ず见奉りて参れ。』と、仰事ありつるものを、见奉らではいかでか归り参らん。国王の仰事を、まさに世に住み给はん人の承り给はではありなんや。いはれぬことなし给ひそ。」と、词はづかしくいひければ、これを闻きて、ましてかぐや姫きくべくもあらず。「国王の仰事を背かばはや杀し给ひてよかし。」といふ。この内侍归り参りて、このよしを奏す。帝闻しめして、「多くの人を杀してける心ぞかし。」との给ひて、止みにけれど、犹思しおはしまして、「この女をうなのたばかりにやまけん。」と思しめして、竹取の翁を召して仰せたまふ、「汝が持て侍るかぐや姫を奉れ。颜容よしと闻しめして、御使をたびしかど、かひなく见えずなりにけり。かくたい\〃/しくやはならはすべき。」と仰せらる。翁畏まりて御返事申すやう、「この女の童は、绝えて宫仕つかう奉まつるべくもあらず侍るを、もてわづらひ侍り。さりとも罢りて仰せ给はん。」と奏す。是を闻し召して仰せ给ふやう、「などか翁の手におほしたてたらんものを、心に任せざらん。この女めもし奉りたるものならば、翁に冠かうぶりをなどかたばせざらん。」翁喜びて家に归りて、かぐや姫にかたらふやう、「かくなん帝の仰せ给へる。なほやは仕う奉り给はぬ。」といへば、かぐや姫答へて曰く、「もはらさやうの宫仕つかう奉まつらじと思ふを、强ひて仕う奉らせ给はゞ消え失せなん。御み司冠つかう奉りて死ぬばかりなり。」翁いらふるやう、「なしたまひそ。官つかさ冠も、我子を见奉らでは何にかはせん。さはありともなどか宫仕をし给はざらん。死に给ふやうやはあるべき。」といふ。「『なほそらごとか。』と、仕う奉らせて死なずやあると见给へ。数多の人の志疎おろかならざりしを、空しくなしてしこそあれ、昨日今日帝のの给はんことにつかん、人ぎきやさし。」といへば、翁答へて曰く、「天の下の事はとありともかゝりとも、御おん命の危きこそ大なるさはりなれ。犹仕う奉るまじきことを参りて申さん。」とて、参りて申すやう、「仰の事のかしこさに、かの童を参らせんとて仕う奉れば、『宫仕に出したてなば死ぬべし。』とまをす。造麿が手にうませたる子にてもあらず、昔山にて见つけたる。かゝれば心ばせも世の人に似ずぞ侍る。」と奏せさす。 帝おほせ给はく、「造麿が家は山本近かンなり。御み狩の行幸みゆきし给はんやうにて见てんや。」とのたまはす。造麿が申すやう、「いとよきことなり。何か心もなくて侍らんに、ふと行幸して御览ぜられなん。」と奏すれば、帝俄に日を定めて、御狩にいで给ひて、かぐや姫の家に入り给ひて见给ふに、光满ちてけうらにて居たる人あり。
「これならん。」とおぼして、近くよらせ给ふに、逃げて入る、袖を捕へ给へば、おもてをふたぎて候へど、初よく御览じつれば、类なくおぼえさせ给ひて、「许さじとす。」とて率ておはしまさんとするに、かぐや姫答へて奏す、「おのが身はこの国に生れて侍らばこそ仕へ给はめ、いとゐておはし难くや侍らん。」と奏す。帝「などかさあらん。犹率ておはしまさん。」とて、御おん舆を寄せたまふに、このかぐや姫きと影になりぬ。「はかなく、口をし。」とおぼして、「げにたゞ人にはあらざりけり。」とおぼして、「さらば御供には率ていかじ。もとの御かたちとなり给ひね。それを见てだに归りなん。」と仰せらるれば、かぐや姫もとのかたちになりぬ。帝なほめでたく思し召さるゝことせきとめがたし。かく见せつる造麿を悦びたまふ。さて仕うまつる百官の人々に、あるじいかめしう仕う奉る。帝かぐや姫を留めて归り给はんことを、饱かず口をしくおぼしけれど、たましひを留めたる心地してなん归らせ给ひける。御おん舆に奉りて後に、かぐや姫に、
かへるさのみゆき物うくおもほえてそむきてとまるかぐや姫ゆゑ
御返事を、
葎はふ下にもとしは经ぬる身のなにかはたまのうてなをもみむ
これを帝御览じて、いとゞ归り给はんそらもなくおぼさる。御心は更に立ち归るべくもおぼされざりけれど、さりとて夜を明し给ふべきにもあらねば、归らせ给ひぬ。常に仕う奉る人を见给ふに、かぐや姫の傍かたはらに寄るべくだにあらざりけり。「こと人よりはけうらなり。」とおぼしける人の、かれに思しあはすれば人にもあらず。かぐや姫のみ御心にかゝりて、たゞ一人过したまふ。よしなくて御方々にもわたり给はず、かぐや姫の御おん许にぞ御文を书きて通はさせ给ふ。御返事さすがに憎からず闻えかはし给ひて、おもしろき木草につけても、御歌を咏みてつかはす。

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