本文
外国旅行だけでなく、国内旅行にも、飛行機を利用する人が多くなった。確かに飛行機は速い。地球の反対側の国までも、半日ぐらいで飛ぶことができる。しかし、飛行機の旅行は、空港から空に上がり、空から空港へ下りたような感じで、長い距離を移動したという実感があまりない。新幹線のような速い電車で行く場合もこれに似ている。沿線の景色をゆっくり眺めながら、次第に目的地に近づいていく興奮を感じるということが少ない。旅の苦労も減ったが、旅の実感も薄くなった。
料理も高速化している。昔は火加減を見ながら、長い時間をかけて煮込んだ料理も、現在の電子レンジなら僅か数分でできてしまう。何度もなべのふたを取って味見をしたり、台所から流れてくるうまそうなにおいにわくわくしたりする暇がない。
高速化だけでなく、安全や能率の追求も実感の減少につながる。銀行振り込みやクレジットカードなどが普及した結果、現金を手にすることが少なくなった。月給日に月給袋を受け取って、一か月間汗を流して働いた苦労を忘れる。あるいは、ボーナスの出た日、いつもより厚い封筒をしっかりと握って家へ急ぐ——そうした風景があまり見られなくなった。
世の中はますます高速化し、安全を求め、能率を高めていく。生活が変化すると同時に感動の性格も変わるのは当然であろうか、やはり失われていく「実感」が懐かしい。
会話
(一)
同僚が会社で話している。Aは女性、Bは男性。Bは出張から帰って出勤したところ。
A あら、竹井さん、お帰りなさい。
B 留守中はどうもお世話さまでした。 【j%t eG++ 和*风*日*语 www.jpwind.com 更多资源 更好服务 ++/E6}】
A いえ、お疲れ様でした。
B いやあ、たいした仕事はしなかったんですが。
A でも、海外出張ですもの、移動だけでも大変だったでしょう。
B ええ、まあ、飛行機の乗り継ぎって面倒ですからね。
A やっと日本へ帰ってきて、長い旅行だったなあって感じてらっしゃるでしょ。
B いえ、それがどうも変なんですよ。
A え。
B なんだか空港から空へ上がって、また空港へ下りたって感じで。
A へえ。
B 長い距離を移動したって実感があまりないんですよ。
A そうですか。でも、飛行機の窓から外が見えたでしょう。
B 僕の席は窓際じゃなかったし、たまに外が見えても空の雲ばかり。
A ああ、そうかもしれませんね。
B それに、空港なんて、どこの空港も似たようなもんでしょう。
A そうですね。地下鉄なんかも、駅の名前を読まないと、ほかの駅と区別がつきませんもの。
B ま、贅沢な不満でしょうね。高速化のおかげでこんなに早い帰れたのに、実感がどうのこうのって言うのは。
A それはそうですけど、あまり速くなると、旅行の感激は減るかもしれませんね。
(二)
母と息子。息子はこの四月に就職。初めての月給日。 【?%&; gE++ 和风 日语 www.jpwind.com 更多资源 更好服务 ++ 4fw$w j】
息子:ただいま。
母 :お帰りなさい。
息子:はい、これ。
母 :これ?
息子:僕の初月給。
母 :そうそう、今日は初めての月給日ね。さっそく神棚に供えましょう。
息子:それほどのものじゃないけどね。
母 :そんなことありません。つとむの一か月の汗と涙の結晶ですもの。
息子:でもね、その封筒にはお金は入ってないよ。明細書だけだよ。
母 :道理で軽いと思ったわ。
息子:銀行振り込みだから。現金は渡さないの。
母 :なんだか実感がわかないわね。
息子:仕方がないよ。帰りの電車の中ですられたりするよりましだよ。
母 :そうね。このほうが安全ね。
息子:それに、一枚抜いてないかなんて、加えてみる手数もいらないし。
母 :ほんと。
応用文
地球は狭くなった——未来世界の話
立体テレビが、朝のニュースに変ったとき、テレビ電話がかかってきた。靖にだった。
かけてきたのは、同級生の哲夫だった。
哲夫は、ちらりと、テーブルのほうに目をやりながら、ひそひそ声を出した。 【!^[ `b++ 和 风 日 语 www.jpwind.com 更多资源 更好服务 ++?{b Ge=`】
「靖、今日、学校が終わってから、九州まで遊びに行くこと、お父さんは許してくれたかい?」
「もちろんさ。きみは?」
靖がうなずくと、哲夫もにっこりして。
「よかった。僕もだ。ただし、夕方五時東京空港着のジャンボジェット機に間に合うように帰ってくるって約束でね。」
「それでいいじゃないか。それじゃ、あとで学校で会おう。」
靖は手を振ると、スイッチを切った。
これが、数十年前だったら、たぶん想像もつかないことだったんだろうな、小学生が学校の帰りに、ちょっと九州まで遊びに行くなんてことは。
実際、数十年前までは、東京から九州まではもちろん、大阪あたりまでだって、ちょっとした旅行だったのだ。それは、あのころだって、新幹線はあったし、ジェット便もたくさん出ていた。
だが、それでも、新幹線で大阪まで行くのに三時間もかかったし、ジェット機で九州まで行くのには、一時間半もかかった。それに、運賃だってばかにならなかったから、おとなでもだれでも乗れるというわけには行かなかったのだ。
それが今では、すっかり事情が違ってしまった。交通機関が、あのころとは比べ物にならないほど発達したからだ。今では、日本の国内ならばどこへでも、すごく気軽に乗れる三〇〇人乗り、四〇〇人乗りのジャンボジェット機がどんどん出ていて、北九州まででも、一時間あまりで行ってしまう。料金だってとても安い。ちょうど数十年前、バスに乗るぐらいの気軽さで、ジェット機に乗れるようになったのだ。
そして、こういう交通の発達と普及とは、人の考え方までを、すっかり変えてしまった。昔は遠く感じた九州も今では、すぐその辺と変わらないことになり、だから、靖たち、小学生がちょっと遊びに行く、と言っても、何も特別のことではなくなったのだ。
これがつまり、地球はだんだん狭くなる、ということなんだな。
ファンクション用語
倍数とパーセンテージ
A 今年は予想の倍の申込みがありました。
B そうですか。じゃ、学生の数はずいぶん増えましたね。
A ええ、去年に比べて二〇パーセントも増えました。 【cTGSWKP++ 和风日语 www.jpwind.com 更多资源 更好服务 ++X}p+ (m】
B 男女の割合はどうですか。
A 十人に四人は女子学生です。
B みんな市内の人ですか。
A いいえ、三割が市外から来ています。 |